理事長挨拶

理事長 大隅 典子

令和2年11月14日に中込前理事長の後任として一般社団法人・日本神経精神薬理学会(JSNP)の理事長を拝命いたしました大隅典子と申します。岩田仲生副理事長とともに2年間、本学会をお預かりするにあたり、一言ご挨拶申し上げます。

JSNPは精神科臨床医と基礎研究者から成る精神薬理懇話会として発足し、本年は設立50周年を記念する年となりました。不肖ながら大会長を務めました第50回の年会は、第42回日本生物学的精神医学会、第4回精神薬学会と合同開催として、COVID-19対応のために初めてオンラインの開催でしたが、多数の参加者に恵まれました。また、50周年記念事業ワーキンググループのご尽力により、50周年記念誌の刊行や記念シンポジウムの開催などが行われました。

少子化の中、多くの学会が会員数減少に悩む中、本学会は中込前理事長の任期の間に会員数が1.5倍に増加し、もう少しで2,000人に届きます。このことは、社会の中で精神科領域に注目が集まっていることの証左と考えられます。さまざまな精神疾患の中でも、今年はとくにコロナ禍の影響により、ギャンブル障害やゲーム障害、とくに女性や若者での自殺の増加などがメディアで何度も取り上げられています。また10年単位でみると、神経発達障害の発症率上昇も教育現場を圧迫しています。

患者一人ひとりのQOL向上のために、より適切な薬物を提供することが本学会の使命です。既存の薬物では効果の無い患者をどのように救うのか、そのためには、病因・病態の理解に基づく創薬が必須です。本学会では山脇元理事長の時代より産学官連携を推進し、向精神薬の開発を進める活動を行って参りました。今期もけっしてその流れを止めることなく、精神疾患の層別化技術開発や治験登録症例基本データベース化を進めたい所存です。また、企業からの相談に対して、会員の中から適切な人材を紹介することで、新薬開発に寄与したいと考えています。

また、学会は専門家と社会との接点としても重要です。すでにJSNPでは『統合失調症薬物治療ガイドライン』を編集し、医学書院より刊行するとともに、このガイドラインの普及・教育・検証活動を展開してきました。さらに他の精神疾患に関しても同様のガイドラインの発出を今後、行って参ります。

本学会は国際化に関しても積極的な活動を展開してきました。国際神経精神薬理学会(CINP)、欧州神経精神薬理学会(ECNP)、米国神経精神薬理学会(ACNP)などのメンバーとしてもJSNP会員は積極的に参画していますが、池田元理事長は現在、アジア神経精神薬理学会(AsCNP)の理事長を務められ、2024年のCINP大会を東京に誘致することに成功されました。アジア地域は今後、世界の中での重みが増すと考えられ、良い友好関係を保って行きたいと存じます。

本学会からの発信は日本神経精神薬理学雑誌としても為されて来ましたが、2018年より発展的にNeuropsychopharmacology Reports(NPPR)という英文オンラインジャーナルとしてWiley社より刊行されるようになりました。宮川編集長のご尽力により、迅速な査読が為され、原著論文、症例報告、総説などを掲載することが可能です。会員の皆様には、ぜひNPPRへの投稿と引用をお願い致します。

これからの本学会の新たな半世紀の滑り出しが順調なものとなるよう、微力ながら尽くして参りたいと思います。
皆様、どうかよろしくお願い申し上げます。

2020年11月
一般社団法人 日本神経精神薬理学会
理事長 大隅 典子