理事長挨拶

理事長 新田 淳美

理事長からのメッセージ

 2025年度より理事長を拝命いたしました、富山大学学術研究部薬学・和漢系 薬物治療学研究室の新田淳美です。今期の本学会のスローガンは「日本から精神神経疾患の治療薬を発信し、患者様を救う」と掲げております。この目標に向け、会員の皆さまと力を合わせて活動を推進してまいります。

 日本神経精神薬理学会 (JSNP) は50年以上の歴史を持ち、神経科学や精神科学、臨床研究に携わる多様な専門家によって支えられてきました。近年では、薬剤師や心理師、看護師、臨床研究コーディネーター(CRC)のほか、アプリ開発者や統計学者など、多分野からの参加が増えています。また、製薬企業や医療機器分野の方々も加わり、基礎研究から治療薬の実用化までをシームレスに結ぶトランスレーショナルな活動が本学会の特徴です。

 本学会は、神経形態や機能、病態、生物学的データから治療戦略に至るまで幅広い領域をカバーし、こころの健康に関する課題を解決し、患者様に貢献することを最大の目標としています。現在、神経科学分野は歴史的な転換期にあります。指数関数的な脳科学研究の進展、ゲノム医科学からの膨大なデータの創出、さらにはデジタル技術革新によるビッグデータの統合が同時進行しており、これまで困難とされてきた脳の理解に新たな可能性が開かれつつあります。この変革の中核として、JSNP は新しい薬理学的アプローチやデジタルデバイスを用いた治療法の開発、そしてその社会実装に貢献していきます。

 また、JSNP は国際活動にも力を注いでいます。たとえば、向精神薬の命名法をシステム化する「Neuroscience-based Nomenclature (NbN)」の編集に関わり、国際神経精神薬理学会(CINP)とも連携を深めています。このような活動を通じて、若手研究者が国際的な交流機会を得られる場を広げていきたいと考えております。また、本学会の公式ジャーナル「NPPR」(http://bit.ly/2RNx0e0) を通じて、世界との情報共有も積極的に行っています。

 近年、精神神経疾患の治療薬開発を縮小する製薬企業が増える中、私の任期中の目標は、基礎研究や臨床研究をさらに進展させ、治療薬の創出に向けた治験の円滑な実施を支援することです。この分野での発展に向け、引き続き努力を重ねていく所存です。

 興味をお持ちの方はぜひ本学会にご参加ください。学会の詳細は公式ホームページやSNS (X: @JSNP1971、Facebook: http://bit.ly/2mZSLgc) でもご覧いただけます。皆さまと共に、さらなる脳科学の発展に向けて歩んでいけることを楽しみにしております。

一般社団法人 日本神経精神薬理学会 理事長
新田 淳美