理事長からのメッセージ
JSNPはその成り立ちとして、神経科学と精神・神経医学の研究者で構成され、様々なイニシアチブを発揮しトランスレーショナルギャップを埋めることで、神経精神薬理分野の変革を推進できる独自の立場にあります。様々なモダリティでの疾患モデル研究、分子、回路、システムと人の表現型との関連性をより強固にする基礎と臨床研究者の対話、両者の絶え間ない交流こそがJSNPの真骨頂でありさらに深めていければと考えています。
JSNPは脳に関する様々な知識を統合し精神障害、神経障害その他の脳障害に関する生物学的研究を推進し、人類の進歩に貢献することを目的としています。現在この分野は大きな変曲点に歴史的にあると考えています。様々な神経科学研究の指数関数的な進展、人のゲノム医科学からの膨大なデータの創出、デジタル技術革新による多岐多様な表現型のマッピングとビッグデータの統合が時を同じくして出現し日々増大しているのは単なる偶然ではなく、これまで非常に困難と考えられてきた脳の理解が新たな局面に進もうとしているのだと思います。
神経科学の基盤に基づく新たな薬理学的、デジタルデバイス治療法の開発と社会実装の中核にいるのがJSNPでありその責務は大変重く、大きな変革に向けてこの分野をさらに前進させていかなければなりません。そのためにこれまでのJSNPの活動をさらに発展強化していく所存です。本分野の進展を皆様と共に歩むことを心から祈念しております。
一般社団法人 日本神経精神薬理学会 理事長
藤田医科大学医学部精神神経科学講座 教授
岩田 仲生